東洋医学では、小児の言語発達が遅れてしまうものを「語遅」と呼びます。
東洋医学では、
「心(精神だけでなく知的活動も含む)と身体は一体のものでお互いに深く関連し合っているという考え方(心身一如)」
がありますので、語遅は、身体の損傷が正常な知的活動を邪魔した結果だと考えます。
ですから、鍼灸や漢方薬では、身体の損傷している部分を治療することによって、正常な知的活動を邪魔する原因を取り除き、言語の発達を促すというようにアプローチします。
画像出典:https://h-navi.jp/column/article/35025830

坂井祐太
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。都内鍼灸院での勤務の後、2014年に江戸川鍼灸院を開院。
「最小限の刺激で最大限の効果を」を理念に、一度の施術で使用するツボは1~3箇所とごく少数なのが特徴。
院内診療の他、在宅診療にも積極的に行っており、望まれる全ての方に東洋医学を届けられるよう、日々臨床に取り組んでいる。
1 語遅の原因
さて、語遅の原因ですが、
- 先天的な五臓六腑の不調
- 後天的な気血の不足
- ストレスや飲食の不摂生による気血の循環障害
東洋医学的に考えると上記のようなもので起こるとされています。
1つ1つ解説してきます。
2 先天的な五臓六腑の不調による語遅
原因としては、お母さんやお父さんの体質のうち弱い部分を受け継いだり、出生時に事故があったり、妊娠中に精神的・肉体的な不養生があったりすると、体内の調節機構である五臓六腑が損傷してしまい、結果語遅が起こってしまいます。
このうち、「妊娠中の精神的・肉体的な不養生」は自力で防ぐことができますので、ぜひぜひやって頂きたいですね。
具体的には、「余計なストレスを溜め込まず、適度に軽い運動をし、飲食に節度を持たせる」という言ってみれば当たり前の養生が何と言っても一番です。
そうは言っても、当たり前のことって難しいですよね。
自信がなければ東洋医学を頼ってみてください。
東洋医学というのは自然治癒力を活性化させることによって治癒を目指すものですから、自分自身でどうにもならないことをサポートしてくれるとても良いものです。
続いて、後天的な要因で生じる言語発達の遅れについてお話していきたいと思います。
3 後天的な気血の不足による語遅
もともと胃腸が弱かったり大病を患ったりすると栄養を取り込む機能がおとろえてしまい、精神の発達に必要な気血を作り出すことができず、語遅になってしまいます。
治療としては、胃腸の機能を活性化させ、気血の産生を促すことが第一となります。
養生法としては、授乳中であればお母さんの食事を整え、母乳を良質で消化吸収しやすいものにしていくことが重要となります。
具体的には、脂肪分や糖分が多いもの、味の濃いもの、生もの等を避け、バランスの良いものを腹8分にとどめるのが理想です。
4 ストレスや飲食の不摂生による気血の循環障害による語遅
強いストレスや飲食の不摂生が続くと、慢性的に気血が停滞しやすくなり、このため体内環境の調節機構が正常に働かなくなってしまいます。
そうすると、「先天的な五臓六腑の不調」でも記載したように、東洋医学では心身一如と考えますから、身体の不調が精神活動の不調となって現れてきます。
鍼灸では、気血の停滞を取り除き、体内の調節機構を整えることに主眼をおいて治療します。
ちなみに子供のストレスですが、直接的なものはもちろんですが、ご両親の不仲や長時間接することの多いお母さんのストレスなどの間接的なものも臨床上よく見られます。
まとめ
以上、語遅の原因と対処法についてお話しました。
ただ、子供の成長は個人差が大きく、成長と共に身体が壮健になり治っていく例もたくさんあります。
もし不安であれば、まず養生を見直してみてください。
長期的に構えなければいけない病を治すには、養生がとても大事です。
どんな養生が良いのかわからない、そんなときはぜひ専門家に相談してみてくださいね。
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