長引く咳が特徴のマイコプラズマ肺炎。
潜伏期間が長く、自覚がないうちに人に感染させてしまう可能性もあるマイコプラズマ。
さらに一回かかっても免疫がつきにくい厄介な特徴も持ち合わせています。
早期発見、早期治療が重要になってくるマイコプラズマの対策に関してご紹介していきます。
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目次
1 マイコプラズマってなに?

マイコプラズマは正式には「Mycoplasma pneumoniae」という名前の微生物のことをさします。
細菌より小さく、でもウイルスよりは大きく、細菌にもウイルスにもない性質を持っている微生物です。
この微生物は、気管や喉などの気道に感染し、主に気管から肺で増殖していきます。以前は夏季オリンピックの開催年に流行することが多かったため、現在も「オリンピック病」と呼ばれることも。
ウイルスはヒトの細胞の中でしか増えないという傾向をもっていますが、マイコプラズマは栄養があれば人の細胞外でも増えていってしまいます。
また、細菌には体を保つために外側に壁がありますが、マイコプラズマにはそのような壁が存在しません。
ペニシリンやセフェム系などを代表とする抗生物質の多くは、細菌にある壁を壊して細菌を殺す作用を持っていますが、これらの抗生物質では壁の無いマイコプラズマに対しては全く効果がありません。
2 咳、熱、鼻水など様々。マイコプラズマ肺炎で見られる症状を知っておこう

マイコプラズマは主に気道に感染します。
呼吸系に感染すると、上気道炎、咽頭炎、気管支炎、肺炎になる傾向があります。
特に、肺で増殖するので肺炎を起こしやすく「マイコプラズマ肺炎」と認識されています。
肺炎球菌による肺炎とは違うため、「非定型肺炎」「異型肺炎」とも呼ばれています。
主な症状としては、
- 喉の痛み
- 鼻水や鼻づまり
- 37℃程度の微熱から39℃以上の高熱
- 咳、痰のからむ咳(解熱しても1ヶ月近く続く症状)
- 喘息があると、喘息の悪化、喘鳴
- 呼吸困難
乳幼児に感染した場合は風邪程度で済みますが、学童期頃になると肺炎を起こしてしまいます。
発症年齢は8~9歳がピークと言われているマイコプラズマですが、免疫力が強いほど肺炎になりやすいため、同じように大人が感染した場合も肺炎になる可能性があります。
3 マイコプラズマ発症までの潜伏期間はどれぐらい?

感染から発症までの潜伏期間は1~3週間ぐらいと言われていますが、長いと4週間に及ぶことも。
一度流行するとどんどん拡がって行ってしまうため、発症例の多い秋から冬にかけては特に注意が必要です。
マイコプラズマは痰や唾液、咳で人にうつる飛沫感染がメイン。
そのため、学校や会社など集団生活している環境で感染が拡がってしまいます。
4 マイコプラズマ肺炎との合併症にも気を配ろう

もともと気管支喘息がある場合、マイコプラズマによって咳がひどくなり、喘息発作を引き起こされてしまうことが多くあります。
喘息で使用する気管支拡張薬であるテオフィリンは、マイコプラズマに効く抗生剤と相互作用を持つため、使用する前に注意が必要になってきます。
マイコプラズマは肺炎だけではないので注意が必要です。
時として、
- 脳炎や脳症(2,6〜4,8%)
- 下痢や嘔吐などの消化器症状(8〜15%)
- 肝腫大(8%)
- 肝機能異常などの肝炎(43,6%)
- じんましん、多型滲出性紅斑などの発疹(3〜33%)
さらに心筋炎、赤血球が壊れる溶血性貧血などを起こすリスクも。
もし以下のような症状が出た場合は注意が必要です。
- 黄疸
- 疲れやすいなどの易疲労感
- けいれん、意識がなくなる意識障害
- 盛り上がった赤い発疹
- かゆみのある地図のような湿疹
肝炎、脳炎、じんましん、多型滲出性紅斑などの可能性も考えられるため、医療機関に相談されることをおすすめします。
5 マイコプラズマ肺炎の治療法

画像出典:http://valog.net/antibiotic/entry132.html
長引く咳が特徴のマイコプラズマ肺炎。
潜伏期間が長く、自覚がないうちに人に感染させてしまう可能性もあるマイコプラズマ。
さらに一回かかっても免疫がつきにくい厄介な特徴も持ち合わせています。
主な治療法としてはマイコプラズマに効く抗生剤を使用します。
代表的な抗生物質としては、
- マクロライド系抗生剤(エリスロシン、クラリシッド、クラリス、ジスロマック、リカマイシン、ミオカマイシン、ジョサマイシンなど)
- テトラサイクリン系抗生剤(ミノマイシンなど)
- キノロン系およびニューキノロン系抗生剤
ですがこれらの抗生物質に関しては副作用に注意する必要があります。
マクロライド系抗生剤は喘息の治療薬であるテオフィリンと相互作用で、テオフィリンの副作用を引き起こす可能性も。
テトラサイクリン系抗生剤は、8歳以下の子供に2週間以上長く使用すると、歯が黄色になったり、骨の発達に影響を受けると考えられており、キノロン、ニューキノロン系抗生剤も、関節への影響から子供にあまり使用されない傾向にあります。
6 マイコプラズマ肺炎の予防法や対策法

画像出典:https://medley.life/news/567b932829441826017b50cb/
マイコプラズマ肺炎は抗生剤で治りますが、特に予防が重要です。
飛沫感染、接触感染により感染するため、まずは感染している人との接触をなるべく避けるようにします。
また家族内で感染しやすいという属性も持っているため、手洗い、うがいの励行やマスク着用などの毎日の基本的な行動が極めて重要な予防法です。
特に流行している時期には人混みを避けて、十分な睡眠と栄養、うがい、手洗いを行いましょう。
また、一度マイコプラズマにかかっても免疫力がつくわけでなく、何度も感染することがあります。そのためマイコプラズマの時期には上記のような対策を特に意識してください。
マイコプラズマにかかってしまった場合は外来でも治療できるので、必ずしも入院する必要はありません。
まとめ
いかがでしたか?
今回はマイコプラズマについての内容を紹介していきました。
マイコプラズマが流行する時期は特に対策が必要になってきます。
手洗いやうがいなど、日常からできることをしっかり行い、感染を予防しましょう。
もしマイコプラズマにかかってしまったかな?という方は早めに医療機関に相談に行かれることをおすすめします!
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