「認知症ってよく聞くけど、実際どんなものがあるんだろう…?」
「認知症にも段階があったりするんだろうか…?」
「痴呆症とか色々な名前があってどれがどれだかわからないな…」
現在の日本では、年々少子高齢化が進むに伴って「認知症」という言葉を耳にする機会が増えてきています。
認知症は「痴呆症」の新しい呼び名で、耳にする機会が増えてきてはいますが、実際のところ身近に感じていることができているのか?というとそうではないですよね…。
誰だって病気や健康に関わることとなると実際になってみなきゃわからないし、イメージしようにもなかなか湧きませんよね?
自分の家族や自分がなるなんて想像したくない!とも思うでしょうし、できることなら縁がない方が良いに決まっています。
ですが、やはり病気や障害といったものは私たち人間には必ずついてきてしまう問題なのです。
そうなってしまう可能性が少しでもあるのであれば、いずれくるその時にしっかりと備えをしておき、万全な体制を整えておけば肉体面でも精神面でも少し変わってくるのではないでしょうか?
これまで、認知症についてや、認知症に分類される様々な障害についてご紹介してきました。
今回は、認知症に分類されるものの中から「軽度認知障害」にフォーカスしてみようと思います。
そもそも認知症とは何か?そういった疑問をお持ちの方はまずは以前ご紹介したことのある認知症についての内容をご参照ください!
「認知症って何??必ず知っておきたいもしもの時の対策や症状、相談先など」
画像出典:https://kaigo.news-postseven.com/2997
目次
1 軽度認知障害とは何か?
それではまず、軽度認知障害とは一体どんなものなのかについてご紹介していきましょう。
軽度認知障害は、認知症のような症状はあるけどはっきりしない、健康な方と認知症の方とのちょうど中間にいるような状態のことを指し、「MCI」と称されるものです。
「MCI」とは「Mind Cognitive Impairment」の略称で、いわゆる「認知症予備軍」と言われる状態です。
認知機能の一部に障害が見られていて今後認知症になりうる可能性がることを「軽度認知障害」と言います。
軽度認知障害にはいくつか定義があり、
- 記憶障害と疑われる症状を本人や家族が認識する
- 年齢などの影響とは思い難い記憶障害がある
- 認知機能は正常とは言えないが認知症と診断されている訳ではない
- 全体的な認知機能自体に大きな問題がある訳ではない
- 複雑な動作などは難しい場合があるが日常生活を送る上での困難さはない
これらの全てに該当する場合は、軽度認知障害であると診断がされます。
認知機能である「記憶」「決定」「理由づけ」「実行」のうちのどれかに影響が出ている場合を軽度認知障害と指すので、周りの方のサポートなどは必要とはするものの、日常生活を送るのにそれほど支障はないのです。
認知症予備軍とは言われていますが、生活習慣の見直しなどで進行を遅らせることも可能で、1割ほどの割合で完治も可能と言われています。
2 軽度認知障害の症状はどんなものがあるのか?
それでは、軽度認知障害になるとどのような症状が出てくるのでしょうか?
症状についてご紹介する前に、まず軽度認知障害には更に分類があるということをお話ししなくてはなりません。
軽度認知障害は大きく分けて「健忘型MIC」と「非健忘型MIC」の2種類、そしてその2種類を更に「単領域障害」と「多領域障害」に分類した合わせて4種類があります。
それぞれの特徴と合わせて症状について触れていきましょう。
2-1 健忘型MCI
健忘型MCIは、軽度認知障害に最も多いとされているタイプで、年齢に比例しない物忘れなどの記憶障害が出る状態のことを言います。
記憶障害のみの症状の場合は単領域障害、そのほかの症状も見られる場合には多領域障害と分類されます。
健忘型MCIが進行してしまうと将来的にアルツハイマー型認知症を発症する可能性が高くなり、多領域障害となると、アルツハイマー型認知症だけでなく脳血管性型認知症を発症する可能性も高くなります。
また、認知症ではないからといって放置してしまうと約50%、診断を受けていても約15%の確率で認知症に進行してしまいますので、兆候が見えたり不安に感じるようなことがあればすぐに診断を受けましょう。
2-2 非健忘型MCI
反対に、非健忘型MCIの場合だと、記憶障害ではなく判断力の低下など今までできていたことができなくなってしまう状態のことを指します。
また、その症状に付随してさらなる症状が見られる場合は先ほどの健忘型と同様に多領域障害ということになります。
非健忘型MCIが進行すると、前頭側頭型認知症を発症する可能性が高くなり、多領域障害となると、脳血管性型認知症やレビー小体型認知症の発症の可能性が高くなります。
2-3 主な症状のまとめ
主な症状をいくつかまとめると、
- 人や物、場所などに関連する物忘れが激しくなる
- 約束などを忘れることが増える
- 普段できていたことが段取り通りにいかなくなる
- 物事に対する積極性が低下してしまう
- 人の話についていくのが難しくなってしまう
これらの症状が見えてきたけど、日常生活にさほど支障はない、というのが軽度認知障害の症状の特徴と言えるでしょう。
3 軽度認知障害の原因は何があるのか?
続いて、軽度認知障害を発症する原因についてご紹介していきましょう。
軽度認知障害は、発言や行動などの指令を体に送る役目を担う脳への何らかのダメージが原因と言われています。
原因とダメージの原因ではないかと言われるのは、
- 喫煙
- 肥満
- 高血圧
などが原因とされています。
これらがどのような要因で脳にダメージを与えるのかについても触れていきましょう。
3-1 喫煙
喫煙をすると体内に一酸化炭素が発生し、それによって血液中のヘモグロビンと結合し、ヘモグロビンが減少してしまいます。
ヘモグロビンには、脳のエネルギー源である酵素を供給する役割があるので、ヘモグロビンが減ってしまうと脳に酵素が送られなくなり、脳の昨日の低下に繋がってしまうのです。
3-2 肥満
中高年の方に多く見られ得る肥満も軽度認知障害を引き起こす原因となっており、肥満の方はそうでない方と比較すると認知症系の病気の発症率が3倍にも跳ね上がってしまいます。
肥満によって、認知に関わる神経細胞を圧迫してしまうことから軽度認知障害を発症する可能性が高くなると言われ、最悪の場合だと細胞自体を破壊してしまう可能性もあるのです。
3-3 高血圧
軽度認知障害の原因として多く見られているのが高血圧によるものです。
高血圧によって血液の流れが悪くなり、脳に血液が流れにくくなります。
血液中の栄養がうまく脳に届かなくなることで脳が次第に弱ってしまい、軽度認知障害を発症するのではないかと言われています。
4 軽度認知障害の早期発見と初期症状
「軽度認知障害はいわゆる認知症予備軍である」ということは先ほどから触れてきましたが、反対を言えば、「認知症を防ぐためには軽度認知障害を知ることが大切」とも考えられないでしょうか?
認知症を防ぐため、軽度認知障害の進行を防ぐためには、まずは早期発見の必要があり、初期症状について知ることが大切ではないでしょうか?
ここでは、軽度認知障害の早期発見と初期症状について触れていきましょう。
4-1 早期発見との関わり
早期発見には、早い段階で治療を開始することで、病状が進行している状態よりも治療の効果が見込めるため、認知症に限らず、どのような病気にも早期発見はとても重要視されています。
軽度認知障害の場合も例外ではなく、早期発見ができれば治療を開始するのが早くなることで効果も見込まれ、さらには生活基準を整える準備をして今後の備えをすることもできるので、メリットしかありませんよね!
また、血管性の場合などは手術での治療も可能なので、進行を食い止めるにはこちらも早期発見がキモと言えるでしょう。
認知症というのは、発症してしまうと完治ということは難しい問題ですが、早期発見による治療を受けておくことで軽度認知障害からの進行を防ぐことが可能となります。
4-2 初期症状
それでは、早期発見に重要視される軽度認知障害の初期症状についてご紹介しましょう。
先ほどご紹介した症状と同様なものもありますが、主に、
- 同じことや話を何度もする
- 言葉や単語が出てこない
- 最近聞いた話なのに繰り返して話せない
- 日にちをよく忘れる
- 話が飛びがち
- 会話の理解が難しい
- 質問と答えが噛み合わない
- 時間がわからなくなったりする
- 無理に話の辻褄を合わせようとする
- 家族への依存が強い
- お金の管理ができなくなる
- 計算ができなくなる
- 何度も同じものを買う
- 匂いがわからない
などの症状が見えており、4つ以上が当てはまってくると軽度認知障害の可能性が高いとされています。
5 軽度認知障害の診断について
続いて、軽度認知障害の診断についてご紹介していきましょう。
先ほどご紹介した軽度認知障害の初期症状などに当てはまったり、不安だなと感じた場合にがすぐに診断を受けることが絶対です。
しかし、軽度認知障害には明確な診断方法というのは確立されておらず、医師にも判断が難しいというのが現状なのです。
なので、現在の診断方法としては認知症患者と同様の認知機能のテストを行い、
- 読んだり聞いたりした言葉の理解ができるか
- 計画や行動ができるか
- 立体感や遠近感に問題がないか
- 注意力や推論などの検査
などの項目から評価を行い判断をするという形式で診断するという方法になります。
また、血液検査もアルツハイマー型認知症の原因である「アミロイドβペプチド」や「ApoE4遺伝子」について調べることで自覚症状が出る前に軽度認知障害を推測可能な手法として注目されています。
自宅で行える「長谷川式簡易知能評価スケール」といったプログラムもあるのでこちらを実践してみるのも良いでしょう。
出典:https://info.ninchisho.net/check
6 軽度認知障害の治療法について
それでは最後に、軽度認知障害の治療法についてご紹介していきましょう。
効果的な治療法として挙げられているのは主に、
- 日記などをつけて物事を記憶させる
- 新聞などを声を出して読んだり書き写す
- 会話をしながら心情を読み取るなど一度に複数のことを同時に行う
- 麻雀や囲碁、将棋やオセロなどのゲームをする
- 計算をする
- 音楽鑑賞をしたり歌ったりする
- 過去の話を思い出して語る
- 折り紙や塗り絵などをする
- コミュニケーションをとって気遣いなどを意識させてみる
などがあります。
また、生活習慣の改善や投薬治療なども効果的で、「アリゼプト」や「プラズマローゲン」といったサプリメントも効果的と言われています。
これらは治療としてだけではなく、予防法としても活用できますので、日常生活の中に組み込んでみるのも良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は軽度認知障害・MCIについてご紹介してきました。
認知症の前段階だからといって安心するのではなく、認知症にならないようにこの段階から対策を打っておくことが何より大切なのです。
睡眠や食生活など、生活習慣を見直すだけで効果が出たりもしますから、今一度生活を見直して予防に勤めるのもマストですね!
今回ご紹介した内容で皆様に身近な人を認知症から救うきっかけが作ることができれば幸いです。
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