よくある症状の頭痛。
西洋医学では、緊張型頭痛、片頭痛、群発性頭痛、その他の病気による頭痛などというように分類されますが、東洋医学では全く違った観点から分類されます。
今回は、その分類の一つである「余分な水分が引き起こす頭痛」についてご紹介したいと思います。

坂井祐太
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。都内鍼灸院での勤務の後、2014年に江戸川鍼灸院を開院。
「最小限の刺激で最大限の効果を」を理念に、一度の施術で使用するツボは1~3箇所とごく少数なのが特徴。
院内診療の他、在宅診療にも積極的に行っており、望まれる全ての方に東洋医学を届けられるよう、日々臨床に取り組んでいる。
1 体の中の水と頭痛の関係性
東洋医学では、体の中には津液(しんえき)と呼ばれる正常な水分が身体の節々を潤すことによって、お肌が適度に潤ったり関節がスムーズに動いたりする、というように考えられています。
この身体に必要な水分である津液に対して、正常に働かず身体に悪さをするお水のことを水飲(すいいん)とか湿痰(しったん)とか痰濁(たんだく)とか呼びます。
これらが身体の中に停滞していると、例えば、むくみとなったり、身体が重だるくなったりするんです。
この余分なお水ですが、意外に思われるかもしれませんが、頭痛を引き起こすこともあります。
どういう事かと言うと、東洋医学では「痛み」というものは最終的に「気血の停滞」か「気血の不足」のどちらかによって起こるとされています。
余分なお水というのは身体の中に停滞してしまい、気血の循環を妨げてしまうんです。
つまり余分なお水が頭に停滞していると、頭の気血の運行が妨げられてしまい頭痛が生じるのです。
2 水が原因で頭痛になっている場合は舌を見る
この手の頭痛がある方は、舌の苔が厚くなりべったりとしていたり、必要以上に潤っていたりすることが多いです。
こんな感じです。
①

②

①は苔が厚すぎていますし、②は舌が潤いすぎています。
この場合、舌の苔は身体の中に余分なお水があるかどうかを示してくれているんです。
舌の苔は東洋医学において重要な診断基準となりますので、鍼灸院や漢方薬局にかかる際は、舌の苔を落とさずに自然な状態できてくださいね。
さてさて話は戻りますが、このタイプの頭痛持ちに大事な養生法についてお話していきます。
3 水が原因の頭痛を治す方法って?
まず大事なのが、新たに余分なお水を生み出さないことです。
- 必要以上に水分を摂りすぎない
- ドロドロな水分の原因になる油ものの摂取を控えること
基本となります。
水をたくさん飲む健康法はもってのほかです。
それ以外には、食べ過ぎて胃腸に負担をかけないことが重要となります。
胃腸というのは、東洋医学ではお水を処理する重要な器官であるとされており、胃腸に負担がかかると、水分代謝が低下して余分なお水が身体にあふれてしまいます。
水分や油ものをたくさん摂らなくても、食べ過ぎるとむくんでしまうのはそのためです。
次に大事なのが、余分なお水を身体から排出してあげることです。
それには運動をして汗をかくのが一番ですね。
サウナなどで無理矢理汗をかかせるのも一つですが、運動をすると胃腸が活発になり身体の水分代謝機能が向上するので、お水をさばくのであれば運動の方が優れています。
また、サウナのような高熱環境では、身体に必要な水分まで過剰に出ていってしまい、別の病気を生み出してしまう可能性もありますのでご注意を。
楽して健康は得られないようになっているんですねぇ。
楽あれば苦あり、まさに陰陽です。
食事を正しても運動をしても良くならない、そこまでくれば自力で解決できるレベルを超えていますので、そんな方はぜひ一度鍼灸治療をお試しください。
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