冬になると多かれ少なかれ肌が乾燥し、カサついてきますよね。
中には病的なものもありますが、人によっては皮膚表面がひび割れたり、粉をふいてしまったりと、皮膚に異常がない方であっても春や夏と比べると、それなりにカサつきはでてきます。
今回は、皮膚の異常の有無にかかわらず、なぜ冬になると肌が乾燥してしまうのか、その理由とケアの方法ついてご紹介していきます。
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坂井祐太
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。都内鍼灸院での勤務の後、2014年に江戸川鍼灸院を開院。
「最小限の刺激で最大限の効果を」を理念に、一度の施術で使用するツボは1~3箇所とごく少数なのが特徴。
院内診療の他、在宅診療にも積極的に行っており、望まれる全ての方に東洋医学を届けられるよう、日々臨床に取り組んでいる。
目次
1 なぜ肌は乾燥するの?

出典:http://oi-oily.com/
1-1 西洋医学の観点から見た肌の乾燥のメカニズム
まずは西洋医学の観点から見ると、
- 他の季節に比べて絶対湿度(体積1立方メートルの空気中に含まれる水蒸気の量)が低下するため、肌表面から水分が蒸発しがちになり乾燥してしまう。
- 冬は気温とともに体温が下がり、血管を収縮しがちになってしまうために、肌表面近くに血液が行き渡りにくくなり、肌を潤しにくくなる。
なるほど、肌表面を湿らせてくれる湿気が少なくなった上に、内部からも潤せなくなってしまえば、乾燥してしまうのもうなずけますね。
1-2 東洋医学の観点から見た肌の乾燥のメカニズム
肌の乾燥を、「陰陽」という考え方を使って説明していきます。
気候を「寒い」と「暑い」に分類すると、
- 「寒い」が陰
- 「暑い」が陽
となります。
また、気候を「湿(多湿)」と「燥(乾燥)」に分類すると、
- 「湿」が陰
- 「燥」が陽
となります。
人体は、気候によって体内の陰陽バランスを乱されないように、外界の変化とうまく調和する機能を備えているんです。
外界が暑くて「陽」の状態だと、外界との接点である肌表面に水分を集めることで「陰」の状態にして、体内に過剰な陽気が侵入してしまわないようにしています。
ですから、夏は自然と湿り気のある肌になるのです。
この機能がうまく働かないと、熱中症のような体内に熱がこもってしまうような病気を引き起こします。
では、冬はというと、この逆ですね。
外界が寒くて「陰」の状態なので、肌表面を乾燥させて「陽」の状態にして、体内に過剰な陰気が侵入してしまわないようにしているのです。
これが夏のようにしっとりお肌だと、外界も陰、肌表面も「陰」となってしまい、「陰」ばっかりとなってしまうんです。
そのため体が冷えがちになってしまいます。
この機能がうまく働かないと、風邪をひいたり下痢になったりと体の冷えによって引き起こされる病気にかかってしまいます。
ですから、お肌がカサつくからと言って無理に潤すと、体が冷えやすくなり病気の元となることがあります。
病気になると当然肌質は落ちがちになります。
肌をケアして肌を壊す、そうならないよう節度をもって美肌に取り組んでくださいね。
まとめると、
「冬に肌がカサつくのは、気候が陰(寒)で肌表面が陽(燥)というふうにバランスをとり、体内に陰気が過剰に侵入してしまうのを防止しているから。」
なので、冬に乾燥するのは正常な反応であり、病的でない限り特別ケアする必要はありません。
正常なのに、無理にあれこれいじくりまわすと、体内環境を崩してしまい、新たな病気の原因になりかねません。
夏のしっとりお肌を一年中維持しようなんて無茶な話です。
木や草だって冬には乾燥して枯れるでしょ?
人間も他の生物と同じように自然の一部なので、その流れに従っている方が病気になりにくいようにできているのです。
2 乾燥肌のケアについて

出典:http://xn--pck1d9b9948bkbb.com/
一口に乾燥肌といってもいろんな原因があります。
これをやっておけば万事OKというような都合のいい方法はなく、乾燥肌のタイプによってやり方を変えていかなければいけません。
中には、体質に合わず、知らず知らずのうちに悪化させてしまうものもありますので、注意を要します。
「どんな方法」が「どんな体質」に合っていないか、ということを学んでいきましょう。
2-1 べったり系(ワセリン)のクリームを塗る

出典:http://www.cosmopolitan-jp.com/
べったり系のクリームは、表皮に油分を加え、水分蒸発を抑えることによって皮膚表面の潤い感を与えてくれるものです。
この方法は、皮膚表面に油の膜を作り出し、外からの刺激から表皮を保護する役割を果たす優れた面を持ち合わせています。
ただ、皮膚表面を油膜でカバーしてしまうということは、汗孔を塞いでしまい汗の発散を抑えてしまうという弊害があります。
人体は、身体の中に生じた余分な熱を汗、大小便などによって排泄し、上手に体内環境を整えているのですが、この排泄機能が抑えられてしまうと、適切な熱の排出がうまくいかなくなります。
ということは、この方法だと適切な熱の排出がうまくいかなくなる可能性があります。
普段から身体に余分な熱が多い人にとっては、他の症状を生んでしまう原因になりかねません。
- 普段運動をせず汗をかかない人
- 普段の食事バランスが「肉・魚 > 野菜」となっている人
- 吹き出物が出やすい人
このような方は普段から身体に余分な熱をため込みやすいので、このクリームを塗る方法はあまり適当ではありません。
もちろんこれらの症状がなくても熱をため込んでいる場合もあるので、気になる方は東洋医学の専門家に相談してみるとよいでしょう。
2-2 化粧水などで肌の水分を補充する

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単純に足りない水分を外から補充して肌に潤いを持たせる方法ですね。
この方法は、先ほどのべったり系クリームのように汗孔を塞ぐことなく肌を潤わせることができるのが特徴です。
ただ、肌の外から潤わすということは、湿気を浴びているのと同じことで、普段から身体に余分な水分を溜め込んでいるような方には適当ではありません。
普段からむくみがちであったり、湿気の多い日にだるくなりやすいなどの症状がある場合は控えた方が良いでしょう。
こういった症状を助長してしまうかもしれません。
まとめ
いかがでしょうか?
お肌のケア一つにしても体質に合ったものを選ぶのが重要です。
知らず知らずのうちに身体を壊さないよう、身体の声にしっかりと耳を傾けてあげてくださいね。
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