「介護のサービスを受けるときによく聞く介護保険って何だろう?」
「申請の仕方とかどうやるんだろう?」
「もしかして保険を使えば安くなるサービスとかあるのかな!?」
これまでご紹介してきた内容の中で、度々出てきた「介護保険」という言葉がありますが、あまり深くは触れないまま様々な事をご紹介してきました。
今回はいよいよ!介護を受ける上で最も大切な手続きと言っても過言ではないかもしれません、介護保険について紐解いていきたいと思います。
これまでご紹介してきた内容と介護保険との関わりもご紹介できたらなと思っていますので、ぜひ最後までご覧くださいませ!
画像出典:http://nursing-care.org/index.html
目次
1 介護保険制度とは?
そもそも介護保険制度とはどのようなものなのか?まずはそこが気になる方も多いと思います。
介護保険とは、介護が必要になった要介護者が給付やサービスによって社会からサポートを受けられる制度で、40歳以上の人が被保険者となって義務として納めるものです。
毎月国民が保険料を納めることで、高齢者が1割の負担で介護サービスが受けられるので、高齢者本人はもちろんその家族の負担が軽減される制度です。
被保険者が介護が必要になった場合にもサービスが受けられるので、国民全員で高齢者を助けていくための制度とも言えますね。
健康保険のようにシステム自体はシンプルなのですが、申請手順や受給基準など複雑な部分も多くあるのでひとつひとつ掘り下げていってみましょう!
2 介護保険制度の歴史
システムについて触れていく前に、まず初めに介護保険にはどんな歴史があるのでしょうか、その成り立ちについて触れていきます。
最近までは、高齢者が認知症や痴呆症、寝たきりになってしまった時にはその家族が介護をするという役割でした。
しかし、高齢社会と言われている現代は全人口の25%が高齢者となっており、平均寿命の増加や核家族化が著しく進み、家族だけでの介護が困難になってきました。
また、少子化の影響も重なり介護をする人自体が減少傾向にある中で、より自宅での家族による介護が難しい状態になってきました。
そこで、家族だけではなく社会全体という規模で高齢者を支えようと1997年に「介護保険法」が制定、その後2000年に発足されたのが「介護保険制度」なのです。
発足後も先ほども触れた高齢化社会による介護人口の増加で、介護保険制度に関する問題も増加していました。
それに伴い、2005年には「介護予防」という概念が生まれ、介護状態になるのを防ごう、介護状態の維持や悪化を防止しようという考えが生まれました。
その当時よりも更に高齢者が増加している現代では介護保険制度は最重要の介護ツールと言えるのではないでしょうか?
それでは次の節からはいよいよ介護保険制度の内容についてご紹介していきましょう!
3 介護保険制度の仕組み
ここではまず介護保険制度の仕組みについて触れていきます。
先ほども触れたように、40歳以上の国民全員に納付の義務があるもので、介護が必要になった方を給付という形で支えていくというものです。
その仕組みはどのようなものなのでしょうか?
介護保険制度は、財源のうち50%が公費で残りの50%が40歳以上の国民に納付の義務がある保険料となっています。
公費の50%の内訳が、国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%となります。
介護施設や医療施設などにかかる給付費の場合は都道府県の割合が17.5%となり国が20%となります。
また、国の負担の25%のうち20%が国庫負担金とされており、残りの5%は調整交付金とされています。
調整交付金とは、水準と比べて所得の割合が低かったり、反対に高齢者の割合がたか方tりした場合に財源不足とならないように調整をするためのものです。
4 介護保険制度を利用するための流れと基準
続いて、介護保険制度の利用の流れと受給の基準についてをご紹介していきます。
4-1 利用までの流れ
介護保険を利用するまでの流れは主に、
- 介護が必要と判断した家族や本人が市町村に要介護認定の申請をする
- 市町村の職員などが調査を行い介護が必要かを審査し、それに合わせて主治医が認定書を用意する
- 介護認定調査会による審査が入る
- 要支援1〜2、要介護1〜5までの介護度が決定する
- 担当のケアマネージャーに介護度に応じたケアプランを作成してもらう
- 作成されたケアプランを基にサービスの利用が開始される
このような流れになります。
4-3 受給の基準
介護保険を受給するにもある一定の基準を満たす必要があります。
ここではその基準についてご紹介します。
介護保険を受給するには40歳以上であることが第一になります。
40歳から65歳未満の被保険者は「第2号被保険者」と呼ばれ、65歳以上の被保険者は「第1号被保険者」と呼ばれています。
主な受給基準としてはこの2つの分類となるにで、続いての節でそれぞれの特徴についてご紹介していきます。
5 被保険者について
5-1 第1号被保険者
先ほどと順番が逆になってしまいますが、まず第1号被保険者について触れていきます。
第1号被保険者は65歳以上の方全てが対象となり、保険料は収入や生活水準などを考慮した上で主に年金から天引きされます。
認知症や寝たきりなどの症状があり、サービスが必要と判断されれば発症の原因などは問わずに利用が可能です。
5-2 第2号被保険者
続いては第2号被保険者についてです。
第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の方が対象となり、こちらは特定疾病による介護が必要である場合に受給が可能となっており、こちらの特定疾病の認定が利用条件となっています。
参考までに、対象となる16種類の特定疾病をご紹介します。
- 認知症
- 脳血管疾患
- 末期がん
- リウマチ
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 骨粗しょう症
- 後縦靱帯骨化症
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 筋萎縮性側索硬化症
- パーキンソン病関連の疾患
- 変形性関節症
- 糖尿病性神経障害
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾症
これらが第2号被保険者が介護保険の受給対象となる特定疾病となります。
6 介護保険で受けられるサービス
それでは、実際に介護保険制度でどのようなサービスが受けられるのでしょうか?という疑問を解消すべく、ここでは主なサービスの種類と種類毎の特徴についてご紹介します。
介護保険で受けられるサービスは主に、
- 自宅でのサービス
- 通所でのサービス
- 入居でのサービス
- 短期入所でのサービス
- 介護用品関連のサービス
- ケアマネジメント
などがあります。
次からの節でこれらのサービスについて深掘りしていきましょう!
6-1 自宅でのサービス
まず最初に、介護保険制度で受けられる自宅でのサービス内容についてご紹介していきます。
自宅で受けられるサービスは主に、
- 訪問介護…自宅に専門員が訪問する形で食事や排泄などの介助を行う
- 訪問入浴介護…移動式の浴槽を使用して自宅での入浴介助を行う
- 訪問看護…自宅で医師の指示に基づいた医療措置を行う
- 訪問リハビリテーション…リハビリの指導などを自宅で行う
- 介護タクシー…要介護1以上で利用できる移動に役立つサービス
などがあります。
自宅を拠点、または自宅からの通院などを主にする方を対象にしたサービスになります。
6-2 通所でのサービス
続いて通所で受けることができるサービスですが、主に、
- 通所介護(デイサービス)…施設を訪れ、食事や排泄、入浴の介助を受ける
- 通所リハビリテーション…通所でリハビリの指導を受けられる
- 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)…通所での介護に訪問介護や訪問看護を組み合わせて受けられるサービス
など、自宅で受けられるサービス内容をこちら側から施設などに受けに行くのが特徴となります。
6-3 入居でのサービス
続いて介護保険による入居のサービスが受けられる施設をご紹介していきます。
サービスが受けられる施設の種類は、
- 特別養護老人ホーム(特養)…日常的な介護を受けられる施設で費用が安く入居待ちも多いが人気がある
- 介護老人保健施設(老健)…医療面に優れた施設で自宅へ帰る為に医療サポートやリハビリなどが受けられる
- 介護療養型医療施設…介護サービスと医療サポートを両方受けられる施設で病院内に併設されている場合が多い
主にこれらが挙げられ、症状の信仰や家庭の事情などで家族だけの介護が困難になってきた場合に利用されます。
6-4 短期入所でのサービス
ショートステイなどのサービスがこれに該当するもので、連続利用が30日を上限とし、一定期間で施設での食事などの介助やリハビリなどのサービスを受けることができます。
介護をする家族が出張や旅行などで家を空ける用事がある場合や、体調の関係で一時的に介護から離れる必要がある場合などに利用することができるサービスです。
6-5 介護用品関連のサービス
専門員によるサービスや施設で受けるサービスだけでなく、介護用品関連でも介護保険は適用することができます。
サービスの対象となるのは主に、
- 車椅子
- スロープやクッションなどの車椅子関連用品
- 介護ベッド
- 歩行補助杖
- ポータブルトイレなどの排泄関連用品
- 介護用手すり
- 手すりの取り付け工事費用
などがあります。
購入金額やレンタル料金に保険が利用できるので自己負担額が少なく済むので安心して介護用品を利用することができますよ!
6-6 ケアマネジメント
続いてケアマネジメントについてのサービスで、介護サービスを受ける為に必要なケアプランというものがありますよね?
こちらは担当してくれるケアマネージャーが作成してくれるものですが、こちらも介護保険の対象となるサービスなのです。
ケアプランの他に、ケアマネージャーに介護の相談をしたり手続きなどをする場合などもありますがこちらは自己負担なしで無料で利用することができるのでご安心ください。
6-7 非課税のサービス
介護保険制度によるサービスにも消費税がかかるものとかからないもの、いわゆる非課税のサービスがあります。
ここでは非課税となるサービスについてご紹介していきます。
主に以下のものが非課税のサービスとなります。
- 施設などでの食事の材料費
- おむつ代
- 理美容代
- 居住にかかる費用
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 通所介護
- 通所リハビリテーション
- 短期入所
など、ほとんどのものが非課税で利用できるサービスとなっています。
また、サービス対象外で消費税がかかるものもあり、それがこちらです。
- 訪問介護時に使用した浴槽の水
- 要介護者が選ぶ居室や食事などの特別なもの
- 実施区域外のサービス利用時に発生する交通費や移動費
消費税がかかるものと非課税のものにどんなものがあるかを把握しておくだけでも介護生活をしていくのに必要な知識と言えるでしょう。
7 介護保険の徴収と算定について
ここでは第2号被保険者と第1号被保険者から介護保険料が徴収されるシステムや保険料の算定についてご紹介していきます。
7-1 第2号被保険者の場合
40歳から65歳未満の第2号被保険者の保険料徴収は、誕生日の前日がある月から徴収が開始され、加入している保険機関の第2号被保険者の人数から割って算出されます。
標準的な月収などの収入に比例した金額を会社などと折半して支払っていくような形で、国民健康保険加入の場合は健康保険料と一緒に徴収されます。(月収などにもよりますが月に2,000円〜4,000円の場合が多い)
保険料の算定方法は、1人の負担率を厚生労働省が設定し、市町村や健康保険組合などの医療保険者に通知をします。
その後、医療保険者が算定をし徴収まで至ります。
「総額報酬」と呼ばれる能力別の負担額の導入などの施策も検討されています。
7-2 第1号被保険者の場合
65歳以上の第1号被保険者の場合も誕生日の前日がある月から徴収されるようになり、第2号被保険者と異なり「特別徴収」と「普通徴収」とに別れた徴収システムがあります。
「特別徴収」とは、主に年金からの天引きによって徴収される方法で、老齢年金や退職年金、遺族年金を年間で18万円以上受け取っている方が対象です。
「普通徴収」とは、年金とは違い、口座振替や払込用紙による支払いで徴収される方法で、特別徴収に該当しない場合や、年度中に65歳を迎えた方が対象となります。
算定方法は、自治体による介護サービス費用の見込みを基にした基準額を設定し、それを基に住民税や所得の状況などによって異なる金額が区分けされて設定されます。
8 保険料を滞納してしまったら?
うっかり支払うのを忘れてしまったり、金銭的な事情で支払いが難しい、なんていうこともあるかもしれません。
では、保険料を滞納してしまうとどうなるのでしょうか?
基本的には納期を20日すぎた頃に督促状が送付され、地域ごとに設定された延滞金と督促手数料がかかります。
滞納が長期に渡ると滞納日数に応じたさらなる措置が以下のように取られます。
- 1年以上の滞納…滞納分の納付が完了するまで1割でいいはずの負担額が全額負担になってしまい、全額納付すれば申請後に払い戻しがされる元のサービス内容に戻る
- 1年6ヶ月以上の滞納…保険金の給付が一時差し止めになり、払い戻しもされなくなる
- 2年以上の滞納…負担額が1割から3割に引き上げられ、納めることもできなくなる
2年以上も滞納してしまうと負担も増え、利用自体ができなくなってしまうので何よりも本人が大変な思いをしてしまいます。
滞納しないようにするのはもちろんですし、そうならないように、またそうなりそうな場合には家族やケアマネージャーなどに相談をして未然に防ぎましょう!
ちなみに、これらは第1号被保険者の場合で、第2号被保険者の場合は滞納してしまうと上記のような段階を踏まずに差し止めとなってしまいます。
9 おまけ
最後に、介護保険で利用できるサービスについて触れた過去の内容をご紹介していきますので合わせてご覧になって下さい!
「在宅介護をサポートしてほしい!押さえて置きたい3つのサービス」
「居宅介護支援とは?ケアマネージャーとの関連やサービスについて」
「歩行補助杖にはどんなものがあるの?代表的な4つの種類と特徴」
まとめ
いかがでしたでしょうか!?
今回は介護というものに深く深く関わってくる介護保険制度についてご紹介してきました。
そもそもどんなものなのか?どのように手続きをして何ができるのか?など、一筋縄では行かないのが介護保険です。
知識を身につけられるのはもちろん近道になりますが、自分一人だけで解決させずに周りやお住いの市町村に協力を求めていくのが良いでしょう!
大切な家族を守るために、高齢者が笑顔で毎日を送れるように、いつか自分が介護を受ける側になるときのために…。
介護保険については是非とも押さえて置きたいですね!
今回ご紹介した内容で少しでも皆様をお手伝いできれば幸いです。
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