在宅介護に役立つ情報やサービスの需要が高まってきている高齢化社会。
高齢者にとって有益な情報は皆様が求めるものですよね。
ですが皆様、高齢者にとってのことももちろん大切ですが、そこに重きを置くばかりでご自身のことは後手になってしまってはいませんか?
介護に関することに時間を取られすぎて自分自身のケアがおろそかになっていませんか?
今回ご紹介するのは高齢者と直接関係があることというよりは、介護をする側の方に関わるお話です。
皆様は「介護うつ」という言葉を聞いたことはありませんか?
いわゆる「うつ病」のことで、介護をすることでこちらも皆様にとって決して他人事ではないところにきてしまうのです。
そこで今回は介護うつにスポットを当てていきましょう!
画像出典:http://www.migaru.com/what-to-do-thing/
目次
1 介護に関わるうつ病とは?

画像出典:http://sumartnavi.com/4-preventions-for-care-depression/
1-1 概要
まず、介護うつとはどんな病気なのでしょうか?
その名前の通り、高齢者の介護をするご家族の方などに見られるうつ病なのです。
介護を続けていることで介護者にかかる精神的、肉体的な負担は非常に大きいものになります。
今や4人に1人が介護うつを患っている現状で、介護者側の負担についても無視できないところにきています。
1-2 どんな人がなりやすいか?
では、介護うつになりやすい人にはどのような特徴があるのでしょうか?
介護うつになりやすい人は一般的なうつ病にもなりやすいと言われており、主に、
- 何事も「自分が頑張らなければ!」というように責任感が強い
- 真面目で自分のことよりも介護を優先にしすぎてしまう
- 何事も几帳面にしすぎてストレスを感じやすい
- 手抜きができない完璧主義者
- 周囲に悩みなどをあまり相談しない
などといった方はうつの症状が出やすいと言われています。
自分に当てはまると感じる方は気をつける必要がありますよ!
続いての項目で介護うつの具体的な症状について触れていきましょう。
2 介護うつの症状

画像出典:https://topicsfaro.com/nursing-stress.html
介護うつの症状には主に、
- 憂うつ感
- 億劫感
- 焦燥感
- 疲労感や倦怠感
- 睡眠障害
- 食欲不振
などの症状が見られます。
2-1 憂うつ感
うつ病の代表的な症状が憂うつ感でしょう。
今まで楽しくできていたことが楽しめなくなったり、人と関わることも嫌になってしまいます。
周囲への興味関心も薄れてしまいます。
憂うつ感によって思考障害になってしまうこともあり、頭が思うように働かなくなります。
ネガティブな感情にも陥りやすくなるので自殺願望を抱いてしまう人もいます。
2-2 億劫感
億劫感はうつでなくても見られますが、うつになるとより目立つようになります。
何をするのにも億劫、といった気持ちが介護うつの場合だと長く続いてしまうのが厄介なところです。
2-3 焦燥感
介護に関する不安などからはもちろん、具体的に「これ」といった理由がないのに焦りが出たり不安な気持ちが出てきます。
そんな焦りや不安からイライラしてしまうことも多くあります。
神経質にもなるので周囲の環境の変化に敏感になりすぎてしまうかもしれません。
2-4 疲労感や倦怠感
介護うつになるとすぐに疲れやすくなってしまいます。
ひどい肩こりや頭痛などを覚える人もしばしば…。
体が重く感じて常に倦怠感を覚える人も多く、日々の活動にも大きく影響してしまいます。
2-5 睡眠障害・食欲不振
うつ病の人には多く見られる症状で、長く眠れない、なかなか寝付けない、何度も目が覚めるといった睡眠障害を発症することが多いです。
睡眠障害について詳しく触れた内容についてはこちらから。
また、食べ物を美味しいと思わなくなり、食欲がなくなってしまうことも。
食欲がなくなってしまうと体重が減って体力にも影響してしまいます。
3 どんな原因があるのか?

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介護うつを発症してしまう原因について触れていきましょう。
主な原因としては、
- 経済的な問題…介護にかかるお金の負担が増える反面、介護に割く時間の確保のための介護離職による金銭面の不安など
- 肉体にかかる負担…高齢者の介助によってかかる肉体的な負担
- 精神的ストレス…介護に追われて仕事に行けない、介護に一生懸命になっても高齢者から感謝をされないなどといったこと
- 孤独感…家族の誰かひとりに介護の負担が偏ってしまうことで起こる
- 燃え尽き症候群…介護に力を注ぐあまり、急に力が抜けてしまったり感情的になってしまう。高齢者が亡くなってしまった時になることも。
などがあります。
終わりの見えない介護に疲れてしまったり、毎日が介護ありきになってしまい休みがないことでうつになることも…。
献身的に介護を続けているのに高齢者が弱ってしまう、といったことも介護うつを引き起こす原因と言われています。
介護離職など、介護うつに関わる問題に触れた内容もありますのでよろしければこちらをご覧ください。
4 介護うつを予防するには?

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続いて介護うつを予防するためにできることについて触れていきましょう。
介護うつの予防には自身のストレスについて自覚し、把握することが大切です。
無意識のうちにストレスを溜め込んで気づかない内に限界がきてしまうのはとても怖いですよね…。
自身のストレスを解消するためにひとりで抱え込まず、家族や身の回りの親しい人、介護サービスを提供している事業所などを頼リましょう!
介護に関する情報収集をしっかり行い、適切なサービスを選ぶといったことも介護のストレス自体の対策になりますので実践してみましょう。
頼れるものは全て頼り、周りと協力しながら自分の時間と介護の時間をうまくコントロールしていくことが何よりの予防法になるでしょう。
介護うつの予防については一般的な病気の予防とは異なり、自分自身の心や環境をいいものにしていくといった考え方の方がいいかもしれませんね!
5 介護うつを克服するために大切なこと

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万が一介護うつになってしまった場合のケアとして大切なのが、
- 現状への対策
- 繰り返さないこと
です。
うつになってしまっている現状への対策はもちろん、今後再発しないようにするためのケアも重要です。
5-1 現状への対策
介護うつになってしまった場合、対策としてとっておきたいのが、
- 一度介護の場から離れて休養をとる
- 心療内科を受診してカウンセリングなどを受ける
- 家族に介護の役割を一旦バトンタッチ
- 薬物による治療
- ケアマネージャーに相談してショートステイなど一時的な介護サービスなどの利用を検討する
などがあります。
必ず治る!と言い切れるものではありませんが絶対治らないというものでもないと信じ、しっかりとした対策を周りと協力して実践していきましょう。
5-2 繰り返さないために
再発しないためのケアも介護を続けていく上では非常に大切です。
介護うつを繰り返さないためにはやはりひとりで全てを抱え込まないことがもっとも効果がある対策でしょう。
ケアマネージャーなどと相談した上で介護うつを再発しないためのプランを立てていくのお良いでしょう。
自身の負担を軽減することができる介護サービスを適度に利用するのも非常に効果的ですよ!
6 こんな時、介護うつかもしれない!?

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最後に、自身や身の回りの人に見られたら注意が必要!といった症状をまとめておきます。
- 憂うつ
- やる気が出ない
- 不安感や焦燥感がある
- 無口になる
- 無表情になる
- 眠れなくなる
- 食欲が出ない
などの症状が見られるようになったら介護うつの可能性があります!
放置せずにすぐ診断を受けましょう!
まとめ

画像出典:https://topicsfaro.com/nursing-stress.html
今回は介護うつについてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
直接高齢者に関わることはありませんが、介護をする皆様にとっては決して他人事ではない問題です。
もし皆様が介護うつになってしまったら…?
辛いですし、改善に向かっていくのにかかる時間や負担は決して軽いものではありません。
せっかく一生懸命介護をしているのにうつになってしまうことで高齢者を見てあげることもできなくなってしまいます。
そうならないように常日頃から注意が必要で、周りの人との連携が大切になってきます。
高齢者を守るために、まずはご自身のことを大切にしてあげてくださいね!
今回の内容で介護うつに関する意識が少しでも向いてくれれば幸いです。
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