「介護スタッフに在宅介護のお手伝いをお願いしているけど不安なことが結構あるな…。」
「家族を施設で介護してもらっているけど最近トラブルも多いみたいだし心配だな…。」
「介護をしていて起こりがちな事故とかってどんなものがあるのかな?」
「もし事前に知っていれば自分たちでも予防ができるかもしれない!」
皆様は、介護施設で起きた事故やトラブルなどのお話をニュースやネット、口コミなどで耳にしたことはありませんか?
高齢化社会が加速度的に進行し、介護を必要としている人口も年々増加していっている中で、どうしてもついてきてしまうのが事故やトラブルといったイレギュラーな事態です。
介護人口の増加とともに介護現場での事故やトラブルも増加傾向にあるのが現状で問題視されています。
専門のスタッフと言えども、人間ですしミスはします。
ご家族とソリが合わずに仲良くやれずにサポートも思うようにうまくいかない、なんていうこともあるかもしれません。
ですがもし事前に、我々が介護で起こりがちな事故やトラブルについての知識を持っていたらどうでしょうか?
事故を未然に防げる可能性が高まるのはもちろんのこと、専門スタッフが多少至らない点があったとしても見過ごすことなく一緒に改善していくことができると思いませんか?
大切な家族を守るために、事前の予防対策として今回は介護の現場で起こっている事故やトラブルの背景や事例などについてご紹介していきたいと思います。
現場での現状を知ってもらい、スタッフ任せではなく自分自身で介護をしていくことができるようになることが大切です!
画像出典:http://nursing-care.org/index.html
目次
1 事故やトラブル増加の背景
ではまずはじめに、介護での事故やトラブルにどのような背景があるのか?ということにつて触れていきましょう。
介護の現場でも、高齢者のみに起こるイレギュラー発生のリスクに対してどう動くがが大きな課題とされています。
では、介護の現場で事故やトラブルが発生する主な要因にはどのようなものがあるのでしょうか?
主に要因として挙げられているのは、
- 人口が高齢化していくとともに、身体的リスクの多い75歳以上の後期高齢者が増加傾向にある
- 療養病床の削減などによる医療面での理由から長期療養を必要とする高齢者が介護保険の現場に流れてきている
- 介護業界の雇用対策として現場経験の少ない人材が一時的に増加している
- スタッフの人員確保や研修制度、環境整備が介護報酬や補助金のカットによって不十分になっている
このような理由から、事故やトラブルといった介護現場でのイレギュラーは増加してしまっている現状なのです。
国が介護現場での研修制度やケアマネジメントの質を向上させてリスク軽減に努める動きを強めていますが、具体的な案や対策の実施に関しては結局現場のスタッフに任せっきりになってしまっているのが現状です。
そういった理由から、業者ごとにイレギュラーへの対策に差が出てしまっているのも事故やトラブルが発生しがちな要因とも言えるでしょう。
2 発生しがちな事例とは?
それでは、具体的にどのような事故やトラブルが発生しているのでしょうか?いくつかの事例をご紹介していきたいと思います。
2-1 転落・転倒事故
発生率が8割と介護事故ではもっとも多いと言われている事故で、ベッドからの転落や、歩行中に転倒してしまうなどが主なケースです。
反射神経などの衰えで高齢者は皮膚や骨が弱くなっており、また、防御が取りにくくもなっているので一度転倒や転落事故を起こしてしまうと大きな怪我や後遺症に繋がってしまいますので注意が必要です。
2-2 誤嚥・誤飲事故
転落事故や転倒事故に次いで多いとされているのが誤嚥事故や誤飲事故です。
食べ物や飲み物をうまく飲み込め図に発生してしまう事故で、場合によっては肺炎などの重病を引き起こしてしまう場合もあります。
また、食事だけではなく口腔ケアがをしっかり行わずに不十分になってしまうとことで誤嚥や誤飲事故を引き起こしてしまうケースもあります。
2-3 介護ミス
3番目に多いと言われているのが、介護スタッフによる介護ミスです。
オムツ交換や車椅子の移乗、入浴介助などのサポートを行う際に力加減を誤ってしまって高齢者の肌を傷つけてしまったり、骨折させてしまうといったケースがあります。
また、服用するべき薬と違う薬をを間違えて飲ませてしまうこともあるようです。
2-4 その他の事故
またこれらの他にも、衛生管理が不十分で食中毒や感染症を引き起こしてしまったり、入浴介助の際に誤って高齢者を溺れさせてしまったり火傷をさせてしまうなどの事例があります。
2-5 トラブル
事故と同様に発生が多いのが介護スタッフと高齢者とのトラブルです。
例えば、高齢者の持ち物を壊してしまったり、心無い言葉や行動で精神的なダメージを与えてしまうなどといった事例が多くあります。
訪問介護でスタッフが時間を守らなかったり、施設内で高齢者同士でいさかいを起こすなどといったトラブルもあります。
施設内での身体的、精神的な虐待やセクハラ発言なども問題となっており、ご家族が見ていないところでの問題が多く見られている場合もあるようです。
単純なスタッフだけの問題だけではなく、施設での設備が合わなかったり、家族が不安に感じるポイントが見過ごせないものであるといったところもトラブルと言えるのではないでしょうか?
3 事故やトラブルに対する現場での現状
それでは、実際に介護を行なっている現場はどのような現状なのでしょうか?
先ほども少し触れましたが、現場でのスタッフの現象や研修制度が十分に行き届いていないために不十分な介護しかすることができないというのは深刻な問題でしょう。
また、そういった現状から現場のリーダーへの教育も思うように進まないゆえに間違った価値観が根付いてしまうといったことも問題視されています。
確かに専門スタッフとはいえ人間ですから、個人的な価値観だってもちろんありますし、それが100%悪いというわけではありません。
しかしながら、私たちの見方からいけばどうでしょう?
「介護を受けるのは自分の家族なんだから、本人に合わせた介護をしてほしい!」
そう思うのは当然ですよね?
例えば事故やトラブルが発生した時にも、その原因や対策に明らかな個人の価値観が入り込んでいたら不信になりますし、今後この人たちに任せていいものなのか?と不安にもなりますよね。
現場の指導者やベテランスタッフが、
「私の経験上こういったことはよくあることですから。」
「こういったことはあまり伏籠ようがないんですよ。」
などといった一般論を出してきたらどうでしょう?
いくら経験が豊富であろうとも人それぞれによって状態や事例が異なるのが当然ではないのか!と思いますよね?
こういったところから介護をする側と受ける側で良好な関係を築けないといったことが多く発生しているのが現状で、それがそのまま事故やトラブルの増加に繋がってしまっているのです。
介護というのはあくまで良好な協力関係の基に成り立つものであって「作業」ではありませんので、そのことを私たちがしっかり理解することが現場での悪循環を緩和するのに役立つことが必ずあるでしょう。
4 事故・トラブルに関わる要因
介護にまつわる事故やトラブルの発生にはどのような要因があって、どのような対策があるのでしょうか?
ここではイレギュラーが発生する要因についてや対策についての原則などについて触れていこうと思います。
イレギュラーが発生する要因としては、先ほどから何度も触れている内容にはなってしまいますが、主には高齢者の体の衰えによって今までできていたことが困難になってしまうことを把握しきれないということが第一にあるでしょう。
例えば、運動機能や認知機能などの健康状態に関わることなど、高齢になるにつれ衰えが当然発生してしまうことに対して理解が少ないとどうでしょう?
「今までできていたから」ということが念頭にある状態だと事故やトラブルは事前に防ぐことは難しいですよね。
このように介護を受ける高齢者本人に対する要因を「本人リスク」と言います。
また、介護をしてくれる現場のスタッフの技術面や体力面といった要因も関わってきます。
先ほど知識面に関することについては触れましたのでここでは割愛しますが、体力面といったことも当然必要になってきます。
介護というのは、赤ちゃんのように体も小さく軽い人を対象にするものではなく、成人した大人の体に向けて行うものです。
大人の人の移動などをスムーズにサポートするだけではなく、ふとよろけてしまった時に支えきれなかったらどうでしょう?
前述した転倒事故などに繋がって大けがや重大な後遺症に発展してしまいますよね。
こういった介護を行う側に関わってくる要因を「介護者リスク」と言います。
その他にも、住宅のバリアフリー化や段差の有無、車椅子やベッド設備に関する問題など、介護をする上での高齢者が過ごす環境による問題発生の要因を「変動・環境リスク」と言います。
5 私たちが高齢者を守るためには?
続いて、事故やトラブルなどのイレギュラーから高齢者を守るために私たちがしておくべきことは何なのでしょうか?
重複する内容もいくつかありますが、私たちが行なっていくべきこととして改めて触れていきたいと思います。
5-1 高齢者の状態や環境について把握する
先ほども触れた「本人リスク」のように、高齢者本人の体や精神面の状態をしっかり把握しておくことで、例えば散歩中の転倒事故や食事の際の誤嚥・誤飲事故などを防ぐことができるかもしれません。
人間の体は毎日同じ状態、というわけではありません。
それは私たちでもそうで。高齢者にとってはより顕著なのです。
昨日は何も起こらなかったからもう大丈夫だろうと油断してしまうと取り返しのつかない事故などに繋がってしまうことがありえますので、高齢者の体調や精神状態に気を配るのはもちろん、些細な変化も見逃さないようにアンテナを張っておくことが大切です。
また「変動・環境リスク」に伴う面で、高齢者が過ごす環境面にも気配りが必要不可欠です。
例えば、車椅子やベッドといった介護用品の整備や買い替えといった対応が該当します。
毎日使うものなので、当然劣化していくことは避けて通ることはできません。
少しでも使用時に違和感を感じたなら整備や買い替えなどをするのはもちろんのこと、異常が出る前に定期的な整備をしたり、高齢者本人に使い心地をヒアリングしてみるといった手法も事故予防には適しているでしょう。
また、普段散歩に使っている道が工事していて使えなかったり、雨や風による外出時の環境変化といったところも念頭に置いて高齢者の行動を見てあげる必要がありますね。
普段使う道が使えないから慌てて知らない道に行ったけど迷ってしまって車に気付かず事故に遭ってしまったり、雨で濡れた道に足を取られたり強風に煽られて転倒してしまうといったことも十分にありえます。
こういった事故の予防のためにも環境面の把握もとても重要と言えるでしょう。
5-2 現場スタッフとの関わり
介護をサポートしてくれるスタッフとの関わりも重要になってくるでしょう。
例えば先ほどから触れているスタッフの教育の不十分さによる不備なども、必ずとは言えませんが発生する可能性はもちろんあります。
専門スタッフも人間ですのでその日によって体調がよくなかったり、それこそ自分の家族の介護がうまくいかずに精神的に疲れてしまっているなんてこともあるかもしれません。
そういった場合にスタッフに全責任を押し付けるのは簡単ですが、それは結局高齢者の多面はなりませんし、介護といった面ではむしろマイナスでしょう。
そうならないように、スタッフとご自身とで高齢者を助けていくんだ!といった考え方にシフトしてみてはどうでしょう?
現場のスタッフと協力して高齢者をサポートするというのはもちろん、スタッフが自信を持って介護ができるように私たちがスタッフをサポートするというのも必要になってくるのではないでしょうか?
専門スタッフは、確かに介護の専門スタッフですが、実際に介護を受けるのは皆様の家族です。
大切な家族を守るためにも全部をスタッフ任せにするのではなく、スタッフと協力して介護をしていくといった考えを持ったみるのも良いのではないでしょうか?
6 万が一事故が起こってしまったら?
最後に、万が一事故が発生してしまった時に皆様がどういったことをすればいいのかについて触れていきましょう。
予防対策をしっかりとっても、事故がなくなるわけではありません。
万が一事故が起きてしまっても対応できるように適切な手段を押さえて起きましょう。
6-1 事故が起きる前に
事故が発生する可能性を視野に入れて、実際に事故が発生した場合にどう動くのかを事業所や施設の方と相談をしてあらかじめマニュアルを組んでおくと良いでしょう。
例えば事故が発生した時にその場で救命活動をするのか?それとも先に救急車を呼ぶのか?などの手順を決めておくなどといったことです。
また、作成したマニュアルの手順でどの部分をスタッフが担い、どの部分を家族の方にお願いするのか、などの役割分担も設定しておくと事故対応がスムーズに行えるので最悪の自体を防ぐことが可能かもしれません。
実際に事故が起こってしまうと家族の方はもちろん、スタッフも気が動転してしまって冷静な判断が困難になるかもしれませんので、こうしたマニュアルを作成しておくことはとても大切なことと言えるでしょう。
6-2 実際に事故が起きてしまったら
万が一介護事故が発生した場合、どのように動けば良いのでしょうか?(前述のマニュアルに沿った対応を行なった後と想定します)
事故が発生した場合に家族の方が取るべき対応や知っておくべきことは主に、
- 事故の内容を記した報告書を施設や事業所に提出する
- 報告書に関する詳細な説明を事業所側からもらう
- 報告を受ける際には録音を必ずする
- 提出した報告書と事業所が委員会から掲示された内容に相違がないか、納得できるものかを確認しておく
- 契約書を確認して慰謝料などについて確認をしておく
- 慰謝料などについては弁護士に相談をするのが良い
- 弁護士が実施している無料相談などに参加するのも良い
- 慰謝料の金額がそこまで多くならない可能性があることを理解しておく(治療費や休業費となってしまう場合が多いため)
などといった対応があります。
また、事業所側から掲示された内容に納得できない場合は再度弁護士に相談したり、利用する事業所自体の変更も手段として候補に入れておきましょう。
6-3 事故が起きた時の相談先
それでは、事故が起こってしまった時にどういったところに相談をすれば良いのでしょうか?
まずは先ほども触れた弁護士に相談というのはマストですが、弁護士に相談をすると場合によっては慰謝料よりも相談費の方が高くなってしまうなどといったことも発生することがありますので注意は必要です。
その他、施設や保険のことなどでお世話になっている地域包括支援センターや、生活全般への問い合わせを受け付けている国民センターや消費生活センターなども活用できますので、相談の際の候補に入れてみてはいかがでしょうか?
また、介護事故への対応にはあまり適していませんが、「国民健康保険団体連合会」など様々な介護支援センターに相談してみるとういうのも手段の一つとしてありますので、ご自身の環境に適した相談先を選択しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は介護において発生している事故やトラブルの背景についてご紹介していきました。
また、イレギュラーへの対応や事故後の対応についてなど、私たちでもできる高齢者を守るために実践すべきことについても合わせてご紹介しました。
介護人口が増加している反面で、介護ができる人員が思うように増えていないのも現状ですので、やはりいかに自分たちが動いていけるかが重要なのではないでしょうか?
どんな場所でも、人員不足を補うことができるのは個人の知識と力が重要視されますから、まずは私たちが高齢者の状態をしっかり把握し、それぞれに起こりうる事故やトラブルの可能性を事前に予測した上で対策をとることができれば介護での心配が少し減るかもしれません。
自分の家族です、人任せにするのは怖くありませんか?
今こそ、家族を守るために準備を始める時なのです!
今回ご紹介した内容が皆様が高齢者を守るためのきっかけになることができれば幸いです。
コメントを残す