心を落ち着かせるアロマの香りを、ライフスタイルの一部として取り入れる方が増えてきました。すでにご自宅でディフューザーなどを使ってアロマを楽しんでいらっしゃる方も、きっと多いはずです。
実は、そんなアロマには、認知症予防の効果が期待されているということをご存知でしたか?
最近はテレビ番組の健康特集などでも、アロマと認知症予防の関係について取り上げられることも多くなりました。
確かに、アロマの香りは人の心をリラックスさせたり、集中力をアップさせたりする効果があることは事実です。しかしながら、「アロマには認知症予防の効果が期待されている」と言われても、いまいちピンと来ない方も多いのではないでしょうか?
「アロマには認知症予防効果があると言われているけれど、その関係性がよくわからない…」
「自然療法に近いアロマに、医学的な効果なんて本当にあるの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、今回は、アロマと認知症予防の関係性を中心に、予防に効果的なアロマオイルの種類やそのブレンド方法に至るまで詳しく解説いたします。
目次
- 1 なぜアロマに認知症予防の効果が期待されているのか?
- 1-1 アルツハイマー型認知症の発症には嗅神経が関係している
- 1-2 アロマで嗅覚神経を刺激することで海馬を活性化できる
- 2 認知症予防の効果が期待されている4種類のアロマ
- 2-1 レモン
- 2-2 ローズマリーカンファー
- 2-3 ラベンダー
- 2-4 オレンジ スイート
- 3 認知症予防でアロマを使う際のポイント
- 3-1 アロマオイルはできるだけ純度の高い製品を選ぼう
- 3-2 昼と夜で香りを使い分けよう
- 4 認知症予防に効果的なアロマの楽しみ方
- 4-1 アロマディフューザーで噴霧する
- 4-2 アロマポットで気化する
- 4-3 アロマペンダントで出先でもアロマを楽しむ
- まとめ
1 なぜアロマに認知症予防の効果が期待されているのか?

出典 : https://www.photo-ac.com/
WHO(世界保健機構)によると、アロマとは「医学療法(physical therapy)」ではなく「伝統療法(traditional therapy)」であるとされています。
いわゆる民間療法とかイギリスの代替医療に当たるものと考えて良いでしょう。
民間療法や代替医療は、基本的にその作用機序(※効果との関係性や順序)が明らかにされていません。あくまで使用者の経験則から得られた効果にすぎないことが多いわけです。
一方、アロマと認知症予防の効果に関しては、科学的な観点から研究が進められその作用機序が少しづつ明らかになってきています。
1-1 アルツハイマー型認知症の発症には嗅神経が関係している
臨床段階ではありますが、アルツハイマー型認知症の場合、早期の段階から嗅覚機能が障害されることが研究によって明らかになっています。
① アルツハイマー病(Alzheimer’s disease : AD)
ADの病理学的特徴はリン酸化タウの蓄積による神経原繊維変化,アミロイド β 蛋白からなる老人斑である。嗅内野皮質から神経原線維変化が始まり、海馬、新皮質合野に進展する。臨床的には早期から嗅覚機能が障害を受ける。嗅覚障害の特徴は識別能力が早期から障害される。
要するに、アルツハイマー型認知症とは、嗅覚障害のダメージが徐々に記憶を司る海馬へと伝わることで進行していくというわけです。
このメカニズムを元に、「嗅覚機能を効果的に刺激し活性化すれば、アルツハイマー型認知症を予防できるのではないか?」と考えたのが、日本における認知症予防研究の第一人者として知られる鳥取大学 浦上克哉教授です。
1-2 アロマで嗅覚神経を刺激することで海馬を活性化できる
浦上教授によると、アロマの香りで嗅覚神経を刺激することで記憶をつかさどる海馬を活性化できるとされています。
まず私たちが、アロマの香りを嗅ぐことによって香りの元となる「芳香分子」が鼻腔を通って「嗅覚神経」に伝わり、さらに嗅覚神経はその情報を、記憶や感情に関わりを持つ「大脳辺縁系」に伝えます。
さらに大脳辺縁系から、「自律神経系」や「視床下部」へと香りの情報が伝達されることで、香りの種類に対応した「神経活性物質」が放出されるのです。
また、私たちの記憶をつかさどる「海馬(正確には「ヒト海馬歯状回」と「側脳室脳室下帯」)」は生涯にわたって神経細胞の発生が継続する場所であると言われています。
この海馬を神経活性物質が刺激を与え活性化することで、神経細胞の発生を促進し、認知症予防につながると考えられているのです。
2 認知症予防の効果が期待されている4種類のアロマ
アロマと認知症予防の効果のメカニズムについては既に説明しました。しかしながら、全てのアロマが認知症予防に効果を発揮するわけではありません。
今のところ、認知症への効果が期待されているアロマは以下の4種類のみです。
- レモン
- ローズマリーカンファー
- ラベンダー
- オレンジスイート
どれも比較的有名なアロマばかりですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
それでは早速、各種類の効能等について詳しく確認していきましょう。
2-1 レモン

出典 : https://www.photo-ac.com/
レモンには、血行を促進したり気分を高揚させる効果が期待されています。
「リモネン」を中心とした「モノテルペン炭化水素類」と呼ばれる揮発性の高い成分を含むため、鼻腔を通じて嗅覚神経を刺激しやすいのが特徴です。
嗅ぎ慣れた爽やかなシトラスの香りには、心をリラックスさせ、落ち込んだ心を前向きにしてくれる作用も期待できます。
レモンエッセンシャルオイル(精油)の詳細データ
名前 | レモン |
学名 / 科名 | Citrus Lemon / ミカン科 |
抽出部位 / 抽出方法 | 果皮 / 圧搾法 |
ノート | トップノート |
注意事項 | 光毒性、強刺激 |
2-2 ローズマリーカンファー

出典 : https://www.photo-ac.com/
若返りのハーブとしても知られるローズマリーカンファーには、主に血行促進や集中力向上の効果が期待されています。
スーッと透き通るのような草木の香りは、精神を高揚させたりや無気力や憂うつにもよく効くため、気分転換にもうってつけです。
またローズマリーに含まれる芳香成分の1種である「テルペノイド・カルノシン酸」には、アルツハイマー型認知症特有の神経細胞変性を抑える効果があるとも言われています。
ローズマリーカンファーエッセンシャルオイル(精油)の詳細データ
名前 | ローズマリーカンファー |
学名 / 科名 | Rosemarinus officinalis(ct.Camphora) / シソ科 |
抽出部位 / 抽出方法 | 全草(葉・花・茎) / 水蒸気蒸留法 |
ノート | トップ 〜 ミドルノート |
注意事項 | 妊婦 幼児 高血圧 てんかんの方は使用を避ける |
2-3 ラベンダー

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ラベンダーは、特に殺菌消毒やリラックス効果が高いとされるハーブの1つです。
またラベンダーの芳香成分には、脳の血流量を増加させる効果があるという研究結果も報告されています。
認知症には、脳の血流量低下が関係しているとも言われており、その血流量を増加させるラベンダーには、認知症予防の効果も期待されているというわけです。
【参考】由留木 裕子,鈴木 俊明「ラベンダーの香りと神経機能に関する文献的研究」
ラベンダーエッセンシャルオイル(精油)の詳細データ
名前 | 真正ラベンダー |
学名 / 科名 | Lavandula angustifolia / シソ科 |
抽出部位 / 抽出方法 | 花、葉 / 水蒸気蒸留法 |
ノート | トップ 〜 ミドルノート |
注意事項 | 低血圧の人は避けた方が良い |
2-4 オレンジ スイート

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オレンジスイートには、主に抗炎症作用や消化器系の不調改善の効果が期待されています。
レモン同様に、「リモネン」を中心とした「モノテルペン炭化水素類」と呼ばれる揮発性の高い成分を多く含むため、鼻腔を通じて嗅覚神経を刺激しやすいのが特徴です。
その成分割合は、レモンよりも多く、その96%がリモネン!
香り自体もとても親しみやすいため、アロマ初心者の方にもおすすめできるでしょう。
オレンジスイート エッセンシャルオイル(精油)の詳細データ
名前 | オレンジ スイート |
学名 / 科名 | Citrus sinensis / ミカン科 |
抽出部位 / 抽出方法 | 果皮 / 圧搾法 |
ノート | トップノート |
注意事項 | 光毒性、強刺激、妊娠初期は避けたほうが良い |
3 認知症予防でアロマを使う際のポイント
3-1 アロマオイルはできるだけ純度の高い製品を選ぼう
先ほどご紹介したアロマオイルをご購入する際には、できるだけ純度の高い製品を選ぶようにしましょう。
石油原料などから化学的に合成したものや、似たような芳香の精油を混ぜたり、成分調整を行なったものでは、精油本来の芳香成分の持つ恩恵を受けることができないからです。
ピュアなエッセンシャルオイルには、「100% Pure & Natural、Pure Essential Oil」といった表記がしっかりとされています。
できれば、アロマの本場として知られる、フランスやイタリアのオーガニック認証機関の認証を受けた「認証マーク」付きのものを選ぶと安心です。
3-2 昼と夜で香りを使い分けよう
先ほどご紹介した4種類のアロマは、昼と夜で使い分けるのがポイントです。
私たちの自律神経は、体を活動的にさせる「交感神経」とリラックスさせる「副交感神経」が交互に切り替わることで、バランスを保っています。
先ほどご紹介したアロマは、この自律神経のメカニズムに沿って、午前中は気持ちを高揚させたり血行を促進する効果の高いレモンとローズマリーカンファーを選び、夜は心をリラックスさせるラベンダーとオレンジスイートを選ぶようにするとよいでしょう。
時間帯別 アロマのブレンド
時間帯 | ブレンド | 香らせる方法 |
朝昼(9:00〜11:00) | ローズマリーカンファー + レモン
(ローズマリー2 : レモン1の割合) |
・アロマペンダント
・ロールオンアロマ |
夜(19:00〜22:00) | ラベンダー + オレンジスイート
(ラベンダー2 : オレンジ1の割合) |
・アロマディフューザー
・アロマランプ |
4 認知症予防に効果的なアロマの楽しみ方
アロマには、様々な使い方がありますが、
認知症予防に効果的なアロマの楽しみ方としては、以下の3つの方法がおすすめです。
- アロマディフューザー
- アロマポット
- アロマペンダント
4-1 アロマディフューザーで噴霧する
ご自宅で気軽にアロマを楽しむなら、無印良品の超音波アロマディフューザーが一番おすすめです。
容器に水100mlととエッセンシャルオイルを数滴垂らしたら、あとはスイッチを入れるだけでOK!超音波の力で水とアロマを撹拌するため、芳香成分が私たちの嗅覚神経にもしっかりと届きます。
6畳程度のお部屋でしたら、全体に満遍なく香りが漂い、極上のリラックスタイムに…。
認知症予防だけでなく、日頃からお好きなアロマを垂らして楽しんでみるのも良いでしょう。
- 商品名 : 無印良品 超音波アロマディフューザー
- 価格 : 4,890円(税込)
4-2 アロマポットで気化する
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出典 : 無印良品オンラインストア「アロマポット」商品詳細ページより
アロマの香りをより一層強くするなら、無印良品のアロマポットもおすすめです。
ポットの上皿にエッセンシャルオイルを数滴垂らしたら、ポット下の空洞にミニキャンドルを入れて着火し加熱します。
先ほどのアロマディフューザーとは異なり、熱の力でエッセンシャルオイルのみを気化させるため、芳香成分をダイレクトに感じることができる点が大きなメリットです。
ただし、火を使うため、火事などにならないようご使用の際は細心の注意を払うようにしましょう。小さなお子様やペットを飼ってらっしゃるご家庭の場合は、先ほどご紹介したアロマディフューザーの方が安全です。
- 商品名 : 無印良品 アロマポット
- 価格 : 483円(税込)
4-3 アロマペンダントで出先でもアロマを楽しむ
ハーブを中心にオーガニックなコスメアイテムなどを展開する生活の木から展開されているのが、このアロマネックレス(アロマペンダント)です。
使い方はとても簡単!ペンダント先のキャップを外して、中の芯にエッセンシャルオイルを数滴染み込ませ、首から提げるだけです。
ペンダントが揺れるたびに、染み込ませたエッセンシャルオイルの芳香がふんわりと漂ってきます。
お仕事中の気分転換などでもおすすめのアイテムです!
- 商品名 : 生活の木 アロマネックレス
- 価格 : 1,944円(税込)
まとめ
本日は、アロマと認知症予防の関係についてご紹介しました。
一見何の関係の無いかのように見える「アロマ」と「認知症予防」には、意外と深い関係があったのです。
少し難しい内容についても触れてしまい、知識の消化不良になってしまってはいけませんので、以下、覚えておきたい内容のみをおさらいしましょう。
- アルツハイマー型認知症は、発症早期の段階から嗅覚機能に障害を受けることが分かっている
- アロマの芳香成分が嗅覚神経を刺激することによって、記憶をつかさどる海馬が活性化され認知症予防につながる
- アロマの中でも、レモン、ローズマリーカンファー 、ラベンダー、オレンジスイートの4種類が認知症予防に対して有効である
- 朝昼はレモン + ローズマリーカンファー / 夜はラベンダー + オレンジスイートのブレンドが最適である
- アロマはディフューザー、アロマポット、アロマペンダントなどを使うと効率的に芳香成分を取り入れることができる
「自分はまだ認知症になるような年齢じゃない」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、予防や対策は早めに行なっておくに越したことはありません。
普段の生活にアロマの安らぐ香りを取り入れて、今のうちから認知症を予防に取り組みましょう。
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